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アトピー性皮膚炎 お悩み別外来
アトピー性皮膚炎
- リンボックのアトピー性皮膚炎治療薬としての特性
- アトピー性皮膚炎とは
- JAK1とは
- リンヴォックとデュピクセントの効果の違い
- こんな方にリンヴォック投与をお勧めします
- デュピクセントからリンヴォックに変更される場合
- リンヴォック®内服治療まとめ
- リンヴォックの治療費
リンヴォックのアトピー性皮膚炎治療薬としての特性
- 1)
- アトピー性皮膚炎の病態形成に関わるサイトカイン(タンパク質)のJAK1を阻害します。
- 2)
- 成人に加え、青少年(12歳以上)のアトピー性皮膚炎患者にも適応承認された、1日1回投与で、服用時間の制限がなく、用量調節可能な経口薬です。
- 3)
- 中等症から重症のアトピー性皮膚炎患者(12歳~75歳)において、アトピー性皮膚炎の症状を改善します。
- 4)
- 関節リウマチや乾癬など複数の適応疾患に基づく長年の使用経験があります。
- 5)
- 2021年9月に発売以来、重篤な副作用がほとんどありません。
- 6)
- アトピー性皮膚炎の治療薬として、最近リンヴォックの使用数がデュピクセントのそれを上回りました。
アトピー性皮膚炎とは
皮膚のバリア機能の異常、アレルギー性炎症そしてかゆみの3者が、相互に連続して起きる痒みの強い慢性の炎症です。
遺伝因子とダニ等の環境因子があり、全容はまだ解明されていません。
更に詳しく見ると、細胞の表面から細胞内へシグナルが伝わり、核内に入り皮膚炎を起こす 物資が作られます。
リンヴォックはこのシグナル(JAK1)をブロックするのです。
JAK1とは
JAK1はアトピー性皮膚炎の病態形成に関係している複数のサイトカインシグナルに共通する伝達分子です。
つまり皮膚炎を起こすサイトカイン(タンパク質)を作るように、信号を送っているものなのです。その信号を細胞内でブロックするのがリンヴォックです。⚠️
リンヴォックはJAK1を強力に阻害します。
デュピクセントはJAK1の2つのサイトカインシグナルしかブロックしませんが、リンヴォックは多数のサイトカインシグナルをブロックします。これによって治療効果が違ってくるのです。
つまり炎症や痒みを起こすシグナルが伝わらなくなることで、炎症や痒みを抑えます。
治療前後の写真
ケース 40歳 女性。
30年来のアトピー性皮膚炎で、額の紅斑が何をやっても良くならず新薬のJAK阻害剤であるリンヴォックを投与。翌日よりかゆみが無くなり、あれほど頑固であった額の赤みも2ヶ月で全く消失しました。
リンヴォックとデュピクセントの効果の違い
リンヴォックの圧倒的なパワーが以下の研究にて明確になりました。
1週、4週、16週時のかゆみNRSスコア変化率
青色のデュピクセントに比べ黄土色のリンヴォックは1週間目から痒みが即効的に
減っています。
(縦軸が痒みの程度で下に行く程かゆみが取れている事を示し、横軸は内服期間です)
16週時のEASI 90、EASI 100達成率
16週間の内服した時点で、皮膚炎が90%改善(EASI90)と100%改善(EASI100)した割合を示しています。各々60,6%,27,9%改善と黄土色のリンヴォックが青色のデュピクセントを圧倒しています。
つまり16週間内服した場合、100人中88,5人は、治療前の皮膚炎の面積を100%とすると、内服後その面積が10%以下になったという事です
こんな方にリンヴォック投与をお勧めします。
- ・
- 今ある皮膚炎や痒みをすぐに良くしたい人。
(痒みが強く難治な痒疹タイプにも効果が期待できます)最重症〜重症だけではなく、中等症の方にも良い適応。 - ・
- デュピクセント等の全身療法でも顔の皮膚炎やかゆみが残る場合に、「症状ゼロ」を目指したい人。
- ・
- 維持期の増悪時や重要な時期(テスト、試合、写真撮影など)に短期間だけ使用も考慮できる。
内服を始めるには:
胸部X線検査(会社の健診で可)、血液検査を行い、問題なければ内服を開始します。ただし軽症例は適応ではありません。
デュピクセントからリンヴォックに変更される場合
上記のスクリーニング検査が必要です。
リンヴォック内服治療まとめ
① 効果について
- ・
- これまでの研究で、持続して高い改善効果が得られている(成人・小児)
- ・
- 30mg/日内服では、デュピルマブより治療効果が高い
特に痒みに対して即効性と有効性が高い - ・
- 「症状ゼロ(皮疹ゼロ・痒みゼロ)」の早期達成割合がデータで示されている。
② 安全性について
- ・
- 副作用には注意が必要(定期的な検査など)
- ・
- 上気道感染、ニキビ、ヘルペス等の感染症の副作用がある。
③ 利便性について
- ・
- 内服薬なので使用しやすい(注射よりハードルが低い)
- ・
- 減量、中止、再開することができ、費用を抑えることもできる。
- ・
- 小児(12歳以上かつ体重30kg以上で15mg/日内服)に使用できる。
リンヴォックの治療費
保険薬ですがかなり高額なため、国の補助ややご加入の保険組合によって負担を減らすことができます。
それでも月4万前後負担になります。
・高額医療制度
世帯収入や年齢により、ひと月に医療機関で支払う自己負担額を一定の額までに抑えることができます。
1か月の医療費が上限を超えると、超過分を国が負担する仕組みです。
☎️ 所属の保険組合や下記のリンヴォック相談室にお問い合わせください。